研究概要 |
Ar/CF_4プラズマ下流に存在する陽イオンや中性分子の質量分析を行った。その結果、陽イオンでは、C_nF_<2n+1>^+(n=1-7)、C_nF_<2n-1>^+(n=3-8)、C_NF_<2n-S>^+(n=4-9)が、中性分子ではC_nF_<2n+2>(n=2-7)とC_nF_<2n>(n=4-8)が観測された。陽イオンの成長過程について、量子化学計算結果と反応速度論の立場から考察を行い、C_nF_<2n+1>^+やC_nF_<2n-1>^+ではそれぞれ、C_2F_5^+やC_3F_5^+へのCF_2ラジカルの逐次付加によって成長していることが判明した。C_nF|<2n+1>^+系列やC_NF_<2n-1>^+系列の相対イオン強度は、反応速度式から得られた予測と極めてよく一致した。他の種々のパーフルオロカーボンプラズマについても同様の実験を行った。 Ar/CF_4/O2プラズマでは、上記の陽イオンや中性分子に加えて、酸素原子を含む質量数の大きな陽イオンとしてC_nF_<2n+1>O^+(n=2,3)やC_nF_<2n-1>O^+(2≦n≦7)が、中性分子ではC_2F_<2n<O(1≦n≦7)が観測された。陽イオンの量子化学計算結果により、C_nF_<2n-1>O^+は、C_nF^<2n+1>^+イオンにCOが付着することによって生成しており、また、C_nF^<2n+1>O^+は、C_nF_<2n+1>^+(n=1,2)とCOF_2との錯合体形成(化学結合ではない)によって生成していることが判明した。 Ar/c-C_4F_8プラズマ下流において、シリコン、アルミニウム、および銀基板上にパーフルオロカーボンポリマーを堆積させた。得られた膜の原子間力顕微鏡観察を行ったところ、膜表面の構造は基板の種類に大きく依存した。さらに、膜のX線光電子分光測定を行った結果、シリコン基板上の膜は側鎖の多い構造、アルミニウム基板上の膜は比較的長い直鎖構造、銀基板上では比較的短い直鎖構造を有していることが判明した。
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