研究課題
各種応用に広く利用される透明導電膜としては、現在のところインジウム(In)・スズ(Sn)酸化物(ITO)が主に用いられている。ところが、近年のInの急激な需要増による資源枯渇の危惧と価格急騰により、プロセス開発を含めた代替材料の開発が強く要求されている。低コストで環境負荷の少ない酸化亜鉛系や酸化スズ系材料が有望代替材料として注目されているが、膜質の向上と経時安定性の確保、信頼性の高い低コスト量産プロセス技術の確立など解決すべき課題が多く、ITOに取って代わるまでには至っていない。そこで本研究では、Alドープ酸化亜鉛(AZO:Al doped Zinc Oxide)透明導電薄膜のスパッタ成膜プロセスを対象として、AZOターゲット特有の問題点を把握するとともに、基板への高エネルギーイオン入射を抑制してイオン損傷を低減できる可能性を有する高周波誘導結合プラズマ(ICP)支援スパッタプロセスの適用を実験的に検討した。本研究で得られた結果を要約すると以下の通りである。1)ターゲット投入電力ー定の条件の下で、ICP支援は、スパッタリング用プラズマ密度の増加、ターゲット入射正イオンエネルーの低下、基板入射イオン束の増加、基板入射高エネルギー粒子束の低減、基板温度の上昇、成膜速度の向上、キャリア密度・移動度の増加、膜密度の増加をもたらし、結果的に膜質向上に寄与する。2)AZOターゲットのスパッタ成膜では、アークが発生しやすい。通常方式の直流プレーナマグネトロンスパッタでは、ターゲット電圧が300V程度以上でアーキングが頻発する。AZOターゲット上のアークスポットは侵食領域の外縁で発生し、外縁に沿ってE×Bドリフト方向に0.1〜1秒の時間で周回することが観察された。しかし、ICP支援を行うと、ターゲット電圧が低電圧化し、アーキング発生が抑制される。
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Proc.of the 25th Symposium on Plasma Processing, January 23-25, 2008, Yamaguchi, Japan
ページ: 79-80
Abstracts and Full-Papers CD of ISPC-18, August 26-31, 2007, Kyoto, Japan
ページ: 396
Proc.29th Int.Sympo.on Dry Process, Nov.13-14 2007, Tokyo, Japan
ページ: 161-162