研究課題
窒化シリコン膜は透明で、電気絶縁性、耐酸素透過性、耐水蒸気透過性に優れ、半導体素子のゲート絶縁膜や層間絶縁膜、有機EL素子の表面保護膜等としての応用が期待されている。また、微量の炭素を含む炭窒化シリコン膜では、上記の特性に加えて、炭素原子において複数種の結合が可能であることから膜ストレスの低減が期待できる。本研究では、窒化シリコンや炭窒化シリコン薄膜作製のために用いられる有機シリコン系ガスをタングステン等の加熱触媒体上で分解させ、分解生成物の同定を行った。有機シリコンガスとしては、テトラメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、トリスジメチルアミノシランを用いた。これらのガスの分解生成物を三通りの質量分析法(光イオン化-飛行時間型質量分析法、電子衝撃型四重極質量分析法およびイオン付着型四重極質量分析法)によって同定した。光イオン化質量分析法では、Nd : YAGレーザーの9倍波(118nm)で分解種をイオン化させ、飛行時間型質量分析計で質量選別したのち、マイクロチャンネルプレートによって検出した。イオン付着型質量分析法では、リチウムイオンを付着させることによりフラグメンテーションを起こさせることなしにイオン化させた。これらの測定結果からヘキサメチルジシラザンではSi-N結合の方がSi-C結合よりも強いにもかかわらず、選択的に解離することが分かった。これは、N原子の孤立電子対が触媒体と相互作用し、Si-N結合が切れた状態で解離吸着した後にラジカルとして放出されるためと考えられる。また、メタンやテトラメチルシランの触媒分解過程では、触媒体として、タングステンよりもモリブデンかレニウムを用いた方が炭化による劣化が少なく、有利であることが判明した。なお、グラファイト触媒は高温でも安定ではあるが、分解効率は金属触媒に比べて一桁以上落ちることが判明した。
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