研究課題
窒化シリコン膜は透明で、電気絶縁性、耐酸素透過性、耐水蒸気透過性に優れ、半導体素子のゲート絶縁膜や層間絶縁膜、有機EL素子の表面保護膜等としての応用が期待されている。また、微量の炭素を含む炭窒化シリコン膜では、上記の特性に加えて、膜ストレスの低減が期待されている。昨年度の研究では、窒化シリコンや炭窒化シリコン薄膜作製のために用いられる有機シリコン系ガスをタングステン等の加熱触媒体上で分解させ、分解生成物の同定を行った。その結果、ヘキサメチルジシラザンの分解過程ではSi-N結合の方がSi-C結合よりも強いにもかかわらず、選択的に解離することが分かった。しかし、同時に、これらの有機シリコン化合物は、アンモニア等と混合した場合、アンモニアの分解効率を著しく低下させることが判明した。本年度は、この難点を克服するために、リモート触媒化学気相堆積法の開発に着手した。リモート触媒化学気相堆積法とは、アンモニア/有機シリコン系を例にとれば、上流部でアンモニアガスのみを分解し、発生する水素原子やアミノラジカルと有機シリコン化合物を下流部で反応させ、そこで生成するラジカルを堆積させる手法である。この方法であれば、有機シリコン化合物による触媒毒作用は低減できる。しかし、その実現のためには、高効率なラジカル輸送法の開発が必要である。本年度の研究では、金属製のチャンバーの内壁を石英ガラスやポリフッ化エチレンでコートすることで、水素原子の輸送時の損失を一桁抑えることができることを見出した。また、実際にラジカル発生部と堆積部を分離したリモート触媒化学気相堆積装置を作製し、堆積部においても10^<12>cm^<-3>の水素原子を発生させられることを確認した。なお、石英ガラスコートは、パーヒドロポリシラザンのキシレン溶液をチャンバー内壁に塗布し、それを自然酸化させることにより、容易に行うことができる。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (9件)
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