研究概要 |
1.一重項酸素の寿命τ_Δをプロパン(25-156℃)中で圧力の関数として測定し,二分子反応速度定数k_Dを求めた。液体プロパン,高圧領域での超臨界プロパン中におけるk_Dの温度,圧力依存性は,溶媒と一重項酸素の最近接距離σにおける動径分布関数g(σ)を用いて説明できたが,低圧領域の臨超臨界流体中での結果は説明できなかった。^1Δ_gから溶媒分子の特定の振動子へのエネルギー移動の機構から,k_Dに対する活性化エネルギーE_aと活性化体積ΔV^≠から消光を支配している因子を探った(日化第87回春季年会)。 2. 9,10-ジメチルアントラセン(DMEA)の蛍光の酸素消光速度定数k_qを液体プロパン(25-55℃)中と超臨界プロパン(125-175℃)中で圧力(密度)の関数として測定した。液体および超臨界流体中,温度一定のもとで,k_qは圧力の増大とともに単調に減少した。g(σ)と溶媒の粘性係数ηを用いた解析において,g(σ)/k_qの(g(σ)η)/Tに対するプロットは,温度一定のもとで,実験したすべての液体および高密度超臨界流体中では直線的であったが,超臨界流体中の低密度領域で直線から下方へのずれを示した。この直線プロソトの切片から求めたk_<bim,0>の温度効果の解析から液体および超臨界流体の高密度領域における溶媒"籠"効果を推定した。 3.関連する研究成果:(1)超臨界二酸化炭素中でベンゾフェノンと9-アセチルアントラセンを増感剤とし,一重項酸素(^1Δ_g)の生成の量子収率Φ_Δを温度と圧力の関数として測定し,Φ_Δにおよぼす温度,圧力,および電子状態の依存性を考察した(第47回高圧討論会)。(2)超臨界二酸化炭素中でDMEAの蛍光の酸素消光速度定数k_qを温度と圧力の関数として測定し,上で述べたg(σ)とηを用いた解析から拡散の速度定数k_<diff>を求め,3.(1)の結果とあわせて三重項の酸素消光機構を考察した(日化第87回春季年会)。
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