研究課題
基盤研究(C)
(1)直交条件を課さないHigh-spin restricted Hartree-Fock方程式の変分条件の一般形を導出した。これに制限を加え、開殻系局所射影の変分条件を導き、局所射影分子軌道(Restricted Open-Shell Locally-Projected Molecular Orbital)を求めるプログラムも作成した。分子積分をIn-coreにする版を作り実用的なプログラムとした。(2)閉殻系局所射影分子軌道(Locally-Projected Molecular Orbital)に基づく1電子励起(Single Excitation)摂動展開を3次および4次まで計算する方法を導き、プログラムを開発した。3次の項を加えることにより、フッ化水素(HF)クラスターのように強い水素結合系においても、Hartree-Fock法にcounterpoise補正を加えた場合と、事実上等しいクラスター生成エネルギーを与えること実証した。特に励起軌道も局所軌道(absolutely local excited MO)とすることがこの近似計算において重要であることを、理論的および多くの実例で示した。計算時間は、通常の超分子法よりもさらに高速となり、(H_2O)nでは、ほぼn^<2〜15>でスケールする。(3)特色のある電子状態をもつ一族金属Mとフッ化水素HFの分子クラスターを計算化学によって発見した。このクラスターはHFが3以上になると金属原子は自発的にイオン化し放出された電子{e}は複数のHF分子に囲まれ安定化する。余剰電子{e}の安定化機構として、複数の双極子モーメントによって安定化する機構の典型例である。
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