研究課題/領域番号 |
17550013
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
長岡 伸一 愛媛大学, 理学部, 教授 (30164403)
|
研究分担者 |
間瀬 一彦 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教授 (40241244)
高橋 修 広島大学, 理学研究科, 助手 (60253051)
|
キーワード | 化学物理 / 原子・分子物理 / ナノ材料 / サイト選択 / 内殻 / 分子ナイフ |
研究概要 |
我々は軟X線を分子のためのナイフとして用い、内殻励起後のサイト選択的解離に基づいて、分子から原子や原子団の切り取りを行うことを目的として研究を行った。軟X線励起の電子-イオン同時計数法、表面・凝縮相用の光電子-オージェ電子同時計数法などを用いて、周辺の環境が異なる2個のケイ素原子を含む分子(例えば、F_3SiCH_2CH_2Si(CH_3)_3)やN_2Oなどの各種内殻励起後のサイト選択的解離の実験を行い、サイト選択性が明瞭に現れる条件を求め、実験結果をab initio分子軌道法などを用いて解釈することを試み、その結果に基づいて、内殻励起を分子のためのナイフとして用いる方法を追求している。 F_3SiCH_2CH_2Si(CH_3)_3は、Si2p光イオン化によって気相でも凝縮相でも顕著なサイト選択的解離を示したが、Si1s光イオン化ではその選択性は減少した。また、N_2Oのようにサイトを直接結合させた分子ではサイト選択性は無視できる程度であった。 現在気相では、光電子(オージェ電子)-光イオン-光イオン三重同時計数法などを用いてF_3SiCH_2CH_2Si(CH_3)_3のより詳細なサイト選択的解離過程の機構を研究している。また、凝縮相では、オージェ-光電子同時計数法を用いて、F_3SiCH_2CH_2Si(CH_3)_3などのサイト選択的なオージェ過程を研究している。さらにF_3SiCH_2CH_2Si(CH_3)_3のオージェ終状態の電子配置やサイト選択的オージェスペクトルをab initio分子軌道法などを用いて求め、気相や凝縮相の実験結果と比較している。そうした成果については来年度の報告書で述べる。
|