本研究は、水晶振動子共振周波数の浸漬角度依存性という現象を解明することを目的としている。本年度は、インピーダンスアナライザーを用いて、ニュートン流体中で様々な浸漬角度での水晶振動子共振周波数特性を系統的に検討する研究及び、高濃度ニュートン流体における水晶振動子共振周波数の浸漬角度依存性について検討した。 まず、水晶振動子の振動方向と重力方向との関係を明らかにするための研究を行なった。その結果、ニュートン流体中における水晶振動子の共振周波数変化は水晶平面が鉛直方向と角度を成す時のみ浸漬角度依存性が現れることを発見した。この研究結果は、"Characteristics of immersion angle dependence of the resonant frequency shift of the quartz crystal microbalance in solutions"というタイトルで、Analytica Chimica Actaに報告した。 次に、高濃度におけるニュートン流体における水晶振動子共振周波数の浸漬角度依存性を検討した。これまでの研究では、ニュートン流体における浸漬角度依存性はスクロース溶液10%までを検討していた。そこで、10%以上においても水晶振動子共振周波数の浸漬角度依存性が現れるかどうか検討した。その結果、10%以上になると共振周波数の浸漬角度依存性がなくなることを明らかにした。この研究結果は、"Disappearance of the immersion angle dependence of the resonant frequency shift of the quartz crystal microbalance in a Newtonian liquid"というタイトルでInstrumentation Science & Technologyに発表した。
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