研究概要 |
4,4'-ジチオジモルホリン(1)を固体のまま,室温下で長期間放置すると4,4'-テトラチオジモルホリン(2)に変換されることを見いだした.また,1をCH_3CN中,1.5モル等量のクロラミンTと反応させると,2が68%の収率で得られた.1,2,および2-(4'-モルホリノジスルファニル)ベンゾチアゾール3を硫化剤として用いたBronsted酸存在下での2'-アダマンチリデン-9-ベンゾノルボルネン(4)のチイラン化反応を検討した.2と4を1モル等量のCF_3CO_2H(pKa=0.3)存在下,室温で反応させると対応するチイラン(5)が立体選択的かつ定量的に得られた.一方,CH_3CO_2H(pKa=4.8)存在下,室温での反応では4が定量的に回収された.0.3<pKa<4.8のカルボン酸を用いた場合には,チイラン4と5の混合物が生成し,pKa値が大きくなると5の生成比が向上し,反応速度が低下することがわかった.p-TolSO_3H(pKa=-1.3)を用いた時には,反応の進行はCF_3CO_2Hを用いた時よりも遅くなり,かつ4と5の混合物が得られた.硫化剤として1あるいは3を用いると,同じBronsted酸を用いた時のチイラン化の速度が2>1>3の順で遅くなることがわかった.Lewis酸として置換基交換速度の速いランタニド金属のトリフルオロメタンスルホン酸塩を用いて反応を行うと,反応速度は遅くなるが0.1モル等量を用いた時でも反応が進行し,4と5の混合物が生成することがわかった.この反応での硫化剤の反応性の順序はBronsted酸を用いた時と同じ2>1>3であったが,中心金属の反応性の順序は用いる硫化剤により異なり,一般的な傾向は見られなかった.
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