研究概要 |
2'-アダマンチリデン-9-ペンソノルボルネュリデン1に硫化剤である4,4'-テトラチオジモルホリン2,4,4'-ジチオジモルホリン3,2-(4'-モルホリノジチオ)ベンソチアソール4,あるいはテトラメチルチウラムジスルフィド5を1モル当量,M(OTf)_n(M^<n+>,Li^+,Mg^<2+>,Hf^<4+>,Bi^<3+>,Cu^+,Cu^<2+>,Zn^<2+>,Sc^<3+> ̄,La^<3+>,Ce^<3+>,Nd^<3+>,Tm^<3+>)存在下,CH_2Cl_2中,室温で反応させた.Lewis酸性の低いLiOTfやMg(OTf)_2を用いたときには1のチイラン化反応はほとんど進行しなかった.他のM(OTf)_n存在下のチイラン化では,5を用いるとチイラン6がほぼ定量的な変換率で得られた.2〜4を用いると6と立体異性体のチイラン7の混合物が得られた.M(OTf)_n存在下のチイラン化における硫化剤の反応性は,5>2>3>4であることがわかった.1に対して0.1モル当量の5と1モル当量の4をM(OTf)_n存在下で反応させると,4だけを用いたときよりも反応が早く進行することもわかった. 一方,3を酸無水物で活性化させると,アルケンのチイラン化がより早く進行することがわかった.1に1モル当量の3と1モル当量のTf_2OをCH_2Cl_2中,-30℃で反応させると,6が70%の収率で得られ,1が20%の収率で回収された.1モル当量のCF_3CO_2Tfや(CF_3CO_2)Oを活性化試薬として用いた場合も6が収率良く得られたが,少量の7も観測された.しかしながら,1モル当量のAc_2Oを活性化試薬として用いCH_2Cl_2中で反応を行った場合には室温以下の温度で反応はほとんど進行しなかった.Ac_2Oを溶媒として用いると,-15℃でも反応は進行し,6と7がそれぞれ14%と84%の収率で得られた.この反応条件では,7から6への異性化と1への分解は観測されなかった.
|