研究概要 |
今年度は最終年度であったので申請書に掲載の以下の2つのテーマについて結果をまとめた.結果をまとめながら,量子化学の基礎教育に関する教科書を出版した. 1.溶液中における反応化学種の構造解明と面選択性予測理論の構築α位に電子求引基を有する鎖式ケトンのLiAlH4還元では従来提唱されていたキレーションモデルが無ことがわかり,ジメチルエーテル溶媒中での反応遷移状態を求めたところ.実験の傾向を高精度で再現できた(B3LYP/6-311+G(d,P)).この実験結果はCar-Parinello法による溶媒を含むシミュレーションによって強く支持された.この結果をTetrahedron Lett,2008.49,4223-4226.にまとめた,また,ケトンのNaBH4還元反応の遷移状態をはじめて求めることが出来た.この場合にもメタノール溶媒が動力学シミュレーションによって関与することが明らかとなり.溶媒が面選択性に強く関与していることが示された.この結果をJ.Phys.Chem.に投稿してアクセプトされ印刷中の状態になっている.これらの結果はスペインで行われた物理有機国際会議,春の化学会年会などで口頭発表した. 2.タンパク質フォールディング機構の解明を目指したタンパク分子内微弱相互作用の定量評価前年度から引き続いてタンパク質のシス・トランス異性の問題を追求した.今年度は特に,シス型のペプチド結合がX線データベースで報告されている種々の酵素タンパクの構造や機能を生み出すための役割について,統計解析を含めえ画期的な解析手法を開発しながら研究を進めた.その結果を春の化学会年会で報告し,現在論文にまとあている最中である.さらにタンパク質のフォールディング機構の解明を目指して,今年度は新しい分子動力学理論を発表した.この新しい手法は従来の3次元座標を便うわず,ポテンシャルを変数にとって解析する全く新しいシミュレーション技術であり記者会見で報告した.
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