研究概要 |
以下の研究の論文へのとりまとめを行なった. 1.ルテニウム三核クラスターをユニットとする直鎖状ポリマーの合成と電気化学. ルテニウム三核クラスターをユニットとするピラジン架橋の直鎖状3量体,4量体を合成し,これらのオリゴマーがそれぞれ11段階12電子,15段階16電子の可逆な酸化還元波を示すことを明らかにした. 2.混合原子価異性の発現. 2-メチルピラジンを架橋配位子とするルテニウム三核クラスター2量体の1電子還元体がエネルギー的に微小な非対称性をもつ混合原子価系であることを明らかにし,この非対称ポテンシャル面の二つの極小値に対応する化学種の存在を赤外スペクトルにより確認した. 3.k^3〜:k^2N型架橋モードに基づく強磁性的カップリング. 直線的に3個並んだ磁性遷移金属イオン間にシグマ型の強磁性的相互作用を発現させることをめざした.架橋配位子ジ(ピラゾールカルビミド)アミネート(pz_2bg^-)を設計・合成し,これを2個含むCu(11)錯体を合成し,こその両側に磁性金属イオンを配位させた三元錯体,Cu_3,Ni_2Cu, Co_2Cu, Mn_2Cuを合成した.目的通りのシグマ型の強磁性的相互作用が発現していることを明らかにした. 4.クラスター生成配位子,p, t-ブチルスルフォニルカリックス[4]アレーン(LH_4)用いた4核クラスター錯体. このクラスター生成配位子を利用してMn(11),Co(11),Ni(11)それぞれの正方形型の4核クラスター錯体,[M_4(L) (AcO)_4(μ_4-OH)] ^-を合成した.
|