研究概要 |
二個の金属イオンと四個の二座配位子からなるランタン型二核錯体は、金属イオンがルテニウム(Ru)あるいはロジウム(Rh)などの重い遷移金属イオンの場合、分子内に金属-金属結合を含んでいる。また、ランタン型二核錯体は軸位からの架橋配位子の配位により容易にポリマー化合物を与える。本研究では、このタイプのポリマー化合物の磁性、電導性および液晶性について調べることを目的に研究を行っている。平成18年度に得られた結果を、以下の1-3に示す。 1.カルボン酸架橋ルテニウム(II, III)二核カチオンをOCN^-およびSCN^-で連結したポリマー錯体[Ru_2^<II,III>(O_2CAr)_4X]_n(X=OCN^-、SCN^-)を合成した。ArがPh(OR)_3のトリアルコキシフェニル基で、R=CH_3(CH_2)_7の長鎖アルキルの場合に、液晶相が現れることが分かった。また、X^-イオンを介しての反強磁性的相互作用が比較的大きいことが確認された。 2.N,N'-ジアルキルフェニルホルムアミジネートイオン(drpf)を分子内架橋配位子とするロジウム(II)二核錯体を1,4-ジイソシアノベンゼン(1,4-dib)で連結したポリマー錯体[Rh_2(drpf)_4(1,4-dib)]_nでは、drpfのアルキル鎖の長さによりにより生じる細孔構造が異なり、長くなるほど窒素吸蔵能力が高い傾向にあることが分かった。 3.ペンタフルオロ安息香酸銅(II)二核(Cu_2(pfbz)_4)にピラジン(pyz)および4,4'-ビピリジン(4,4'-bpy)の架橋二座配位子を反応させた。金属-金属結合が存在しないこの二核は分解し、単核銅(II)ユニットが連結されたポリマー錯体[Cu(pfbz)_2(L)]_n(L=pyz,4,4'-bpy)が生成することが分かった。L=pyzの場合に比較的大きな反強磁性的相互作用の存在が確認された。
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