本研究では、酪農地帯の河川等における女性ホルモン物質による汚染状況やその毒性への影響因子を探ることを目的として、(1)女性ホルモン物質の高感度分析法の開発、(2)酪農地帯を流れる河川及び比較のために都市河川中の女性ホルモン物質による汚染状況等の調査、(3)水中の女性ホルモンの除去法の開発について検討を行った。その結果以下のような成果が得られた。 (1)ビオチン化エストラジオールをプローブリガンドとすることによって、抗原-抗体反応をアビジン-ビオチンシステムで検出する方法を確立し、エストラジオールの高感度・高選択的なイムノアッセイ法を開発することができた。また、カーボンナノチューブ修飾電極により、エストラジオールの高感度な電気化学的検出法を確立することができた。さらに、光固定化DNA修飾電極を用いて、DNAとgroove結合する電極活性物質との競争反応により合成の女性ホルモン物質であるDESの電気化学的検出の可能性を示すことができた。 (2)北海道の道北、別海町周辺の酪農地帯を流れる西別川の河川水中の女性ホルモン物質による汚染の調査をELISAを用いて行なつたところ、これらの河川水中には、pM程度の女性ホルモン物質が存在することが明らかになった。検出された総エストロゲン濃度とエストラジオール濃度が比較的接近しているため総エストロゲンのかなりの部分はエストラジオールであることが示唆された。 (3)汚染物質の除去法として、エストラジオールやアニリン等をカーボンファイバー電極に酸化吸着させる方法、アルギン酸ゲルビーズに内包させた活性炭に吸着除去する方法について検討し、何れも良好な濃縮効率を達成できた。
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