研究課題
海底堆積物中メタンハイドレート(MH)の生成機構を化学的に解析することを目的に、(1)試料の採取、(2)試料前処理方法の検討、(3)測定(溶存化学種、ガス成分、δ^<18>O等安定同位体比、固体NMRなど)および考察をおこなった。すなわち、(1)本研究の研究分担者および海外共同研究者のグループと共に、2006年5-6月にロシア国サハリン沖オホーツク海において、調査船および重カコアラーを用いて海底MH含有堆積物の採取に成功した。更に海底MHと比較をおこなう目的で、2006年9月にロシア国バイカル湖において、調査船および重カコアラーを用いて湖底MH含有堆積物の採取に成功した。(2)堆積物コアは船上で直ちに半割し、含有MHは液体窒素中に保存した。含水率測定用試料とガス分析用試料の採取をおこなった後、堆積物間隙水を加圧圧搾分離(研究代表者所属グループが開発)で採取し冷蔵保存した。全試料は北見工業大学への輸送に成功した。(3)MH生成機構を化学的に明らかにするために、MH水(解離水)、海水、湖水、間隙水の溶存化学種をイオンクロマトグラフィー・原子吸光分析法・プラズマ発光分析法等で、δ^<18>O・δDを安定同位体測定用質量分析装置で、ガス組成と濃度をガスクロマトグラフィーで測定した。一方、ガスハイドレート構造を明らかにするために固体NMR測定をおこなった。(4)測定結果より、採取された海底MHは海水由来の水分子と深部からの湧昇メタンの反応により海底面直下(海底面下1m)で生成したことを化学的に明らかにした。一方バイカル湖底で採取されたMH(湖底面下1.5m)は、深部からの湧昇メタンと現在の間隙水とは化学組成及び安定同位体比が異なる水とから生成したことが示唆された。
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Gas Hydrates for the Future Energy and Environment, ed. H. Tsunemoto, H. Shoji and S. Yamashita, Kitami Institute of Technology, Kitami, Japan
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