研究概要 |
CVD法により助触媒すずを1.5重量%導入したPt-Sn/SiO_2のすずサイト解析を行なった。理論式によるフィットを行なうEXAFS(広域X線吸収微細構造)法がよく用いられるが、すずは重元素のためクオリティの高いスペクトルを得るのが容易ではなかった。そこで本研究では、すずK殻の自然幅ブロード化を抑止する高エネルギー分解能すずKα_1選択すずK端XANES(X線吸収端近傍構造)のみにより、SiO_2表面に1nm程度に高分散したPt粒子に吸着したSnサイトの存在を示した。XANESは狭いエネルギー範囲のスペクトルであるが、本測定手法によりシャープ化されたスペクトルと各モデルサイト構造についてのシミュレーション・スペクトルとを比較することで、直観的にサイト構造が得られた。 また、不活性な金が3nm程度のナノ粒子化することで活性化するAu/TiO_2触媒の金サイトをAu Lα_1選択Au L_3端XANES, EXAFSにより状態識別して観察した。分解沈殿合成条件を変えて金平均粒子サイズを2.9〜8.7nmに振り、担体もアナターゼ型およびアモルファスTiO_2と変えた試料を合成した。Au Lα_1スペクトルおよびAu Lα_1選択XANESにより、金粒子内にニュートラル,δ^-,δ^+のサイト存在がそれぞれ示された。δ^-,δ^+のサイトは平均2.9nmの金粒子に比較的多く分布した。この内、δ^+のサイトがO_2分子にさらに電子供与する様子がその場観測され、このサイズの金粒子のみが低温CO酸化反応を引き起こす鍵となると考えた。
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