研究課題
研究代表者は、平成18年度に以下の研究を行った。東京湾湾口部の観測点において、シリカ濃度のシリカ化学種の相対強度比の鉛直分布と季節変化を測定した。珪藻の栄養源として珪藻の摂取に大きく関与している、シリカの2量体および直鎖状4量体と、珪藻の摂取には直接関与していないと考えられる環状4量体を比較すると、季節変動では、2量体および直鎖状4量体が珪藻の活動とともに、大きく変化していることが認められた。この東京湾の季節変動に対する再現性の検討を行った。すなわち、年変動において、どの程度、シリカ化学種の強度比にどの程度、傾向の類似性があるかを明らかにした。その結果、海況において、成層がなされている10月のシリカの濃度やシリカ化学種の相対強度比の特性は類似していたが、相対強度比の数値の大きさには年による傾向があると推定された。また、海況において、混合などが起こっている季節においてはその混合などが進んでいると、相対強度比にばらつきが認められた。また、東京湾においては、珪藻によって摂取されるシリカ化学種は7月に欠乏するが、外洋における相模湾ではシリカの濃度が低いこともあり、4月から珪藻に摂取されるシリカ化学種の欠乏が始まっていることも観測され、今後、沿岸域と外洋域の海水のシリカ化学種の季節変動に対する比較も検討する必要が生じた。シリカ化学種は河川からの流入の影響に対してもトレーサーとして使用できる可能性も明らかにした。これら環境におけるシリカ化学種の変動を理論的に明らかにするためにシリカ化学種をトレーサーとして「塩析」の現象を明らかにし、報告した。さらに天然の濃度に対応するために、アルミニウムイオンの溶存状態に関する新しい測定方法の検討を行い、ESI-MSによってアルミニウムの溶存状態を測定できることを報告した。
すべて 2007 その他
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Journal of Solution chemistry 36
ページ: 27-37
Spectrochimica Acta, PartA (印刷中)
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