研究課題
基盤研究(C)
研究代表者は、これまでにFAB-MSを用いて海水などの天然水を対象として、そのシリカの溶存化学種を分析する方法を確立し、シリカ化学種の相対強度比と溶液の化学的性質との関連性を明らかにしてきた1.海水に対するシリカ化学種平成17年度から19年度にかけて、東京湾湾口部においては、シリカ濃度とシリカ化学種の相対強度比の鉛直分布と季節変化を測定した。珪藻の栄養源として珪藻の摂取に大きく関与している、シリカの2量体および直鎖状4量体と、珪藻の摂取には直接関与していないと考えられる環状4量体を比較すると、季節変動では、2量体および直鎖状4量体が珪藻の活動とともに、大きく変化していることが認められた。また、年変動として、シリカ化学種の深度に対する傾向の類似性を確認した。しかし、春季において、東京湾の海水は、年変動によっても上記のシリカ化学種の鉛直分布の再現性は認められたが、外洋である相模湾では、年によって珪藻の栄養源となるシリカの消費が異なるようである。これが、夏季の冷夏、猛暑の前兆であるのかどうかは今後の研究が必要である。2.シリカの循環多摩川のシリカの溶存状態を分析した。湧水を含む河川においては、シリカの濃度は海洋に比べはるかに高いにも関わらず、イオン性のシリカは海洋に比べて少ないことがわかった。またシリカ化学種の組み替えが河口域で起こり、シリカが海洋に流れ込む濃度は1/40程度であること、また1/50程度の海水でその組み替えが生じることもわかった。このシリカの溶存状態の変化は河口域で起きると考えられ、今後河口域におけるシリカの溶存状態について研究すべきであることがわかった。3.他の金属イオンの溶存状態ESI-MSを用いて、鉄、アルミニウム、マンガンなどの金属の極微量濃度における測定方法を検討し、その基礎的な溶存状態に対する考察の行った。
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