本研究では、耐熱性細繊維を充填した、全く新しい形態の繊維充填型ショートメタルキャピラリーカラムの開発を行った。以下に研究成果の概要を示す。 1.各種繊維の比較検討 (1)各種合成繊維の耐熱性評価 GC装置を用いて、各種繊維の耐熱性について評価し、高温分離に最適な耐熱性繊維を決定した。 (2)選択性の比較・耐久性の比較 繊維状充填剤と従来カラムとの性能比較、繊維の化学構造とその対象化合物に対する選択性の関係についても系統的に検討した。 (3)金属内面不活性化の検討 金属キャピラリーの内面不活性化について検討し、高温GCカラムに適した不活性化法を採用した。 2.耐熱性液相被覆による高性能化 (1)耐熱性高分子による液相被覆の検討 ポリジメチルシロキサンを基本化学構造とする液相を用いて、繊維表面の液相被覆処理を行い、高性能化を達成した。 (2)高温分離条件の検討 高温分離条件について検討するとともに、カラムの小型化に成功した。 3.高性能繊維充填カラムの開発 (1)繊維表面誘導体化の検討 繊維表面への各種化学官能基の導入について系統的に研究し、新規カラムを開発した。 (2)各種高温GC分離への応用 検討の結果、従来のGCでは一般に分離困難であった、低揮発性の高分子試料への応用も可能であることが明らかとなった。 4.周辺技術への応用 (1)他のクロマトグラフィー手法への応用 本研究で開発したキャピラリーカラムを、液体クロマトグラフィーなどの分離カラムとして応用する可能性についても幅広く検討した。 (2)マイクロスケール試料前処理法への応用 環境試料あるいは生体試料に代表される複雑系試料の前処理媒体としての応用についても基本的な検討を行った。 なお、上記の研究成果は、以下に示す論文にて発表するとともに、国内外の国際学術会議等でも広く発表している。
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