研究概要 |
アルツハイマー病(AD)のADアミロイド精製過程において、NAC(Non-A β Component of AD amyloid)が見出され、その前駆体NACP(NAC Precursor、別名:α-シヌクレイン)がクローニングされた。また,NACP変異体(A30R, A53T, E46K)が、家族性パーキンソン病(PD)の原因遺伝子として同定され,NACPが封入体Lewy小体の主要構成タンパク質であることが判明した。 前年度の研究では、電子顕微鏡を用いて野生型およびE46Kの初期段階におけるアミロイド線維形成の経時変化を観察した.この結果,野生型と比べてE46Kの方が初期段階に特徴的な短い線維の形成が早い段階で起こり,量的にも野生型と比較して著しく多い事が判明した.このことより,観察された短い線維の形成は中間体の形成に密接な関わりがあるものと考えられた. 本年度はこれらの結果を踏まえて,野生型α-シヌクレインのアミロイド繊維形成過程の初期段階をSAXにより重点的に解析した.具体的には前年度の電気顕微鏡の結果において長い繊維が確認できるまでの時間,つまりアミロイド化18時間以前に焦点を置いて実験を行った.この結果,繊維化に伴いたんぱく質の分子量は時間とともに増加し,中間体と思われるヘプタマー(7両体)の存在が確認された.確認も含めてSAXSのデーターを上記の7両体モデルを基に再現したところ,実験結果と一致した.今後,7両体の構造解析や立体配置についての解析を行う必要がある.
|