研究概要 |
これまでの経緯:ホウ酸を中心イオンに用いたキラル配位子交換法を検討し、(S)-3-アミノ-1,2-プロパンジオール(SAP)とホウ酸を泳動緩衝液としたキャピラリーゾーン電気泳動法により、1,3-ジオール構造を有するDL-パントテン酸を光学分割できることをみいだし、この分離メカニズムを明らかにした。さらに、(1S,2S,3R,5S)-ピナンジオールをselectorとし、ホウ酸を中心イオンに用いたミセル導電クロマトグラフィーにより、1-フェニル-1,2-エタンジオールなどの中性ジオール化合物をキラル分析できることがわかった。本キラル配位子交換法の分析対象化合物をジオール化合物からポリオール化合物に広げるため、1-フェニル-3-メチル-5-ピラゾロンで誘導体化した単糖類の光学分割法を検討した。その結果、ガラクトースなど3種類の単糖類で光学分割されることを見いだしたが、一斉分析するには至らなかった。このため、単糖類の誘導体化法をさらに検討する必要のあることがわかった。 目的:本キラル配位子交換法の対象化合物をオリオール化合物に拡大し、単糖類の一斉分析法を確立することを目的とし、誘導体化試薬の選択を含む単糖類の一斉分析法を検討する。 結果:単糖類としてグルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、キシロース及びアラビノースの6種類を用いた。数種類の誘導体化試薬を検討した結果、8-aminonaphtalene-1,3,6-trisufonateを用いることにより上記6種類の単糖類を光学分割できることを見いだした。今後、本キラル配位子交換法を用いて、植物や食品の単糖類の光学分割に適用していく予定である。
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