研究概要 |
触媒的不斉1,3-双極性付加環化反応による効率的光学活性複素環の合成研究として、カルボニルイリドを1,3-双極子とする反応における基質一般性に関する検討を行い、o-(p-プロモベンジルオキシ)カルボニル-α-ジアゾアセトフェノンをカルボニルイリド前駆体とする3-クロロノイル-2-オキサゾリジノンとの反応において、キラルな2,6-ビス(オキサゾリニル)ピリジンとYb(OTf)_3より調製した錯体(20mol%)をキラルルイス酸触媒として用いると、高ジアステレオ選択的(endo:exo=>99:1)かつ高エナンチオ選択的(96%ee)に付加環化体が得られることを見出した。また、種々の類似するジアゾ化合物より発生させたカルボニルイリドとイミン類との反応では、希土類金属を含むトリフラートを触媒(10mol%)として用いると、反応速度の顕著な加速が認められることを明らかにした。 一方、メシトニトリルオキシドと3-クロトノイル-5,5-ジメチル-2-オキサゾリジノンとの付加環化反応では、(R)-N,N'-ビス[4-(3,5-キシリル)-2-キノリルメチレン]-1,1'-ビナフチル-2,2'-ジアミンと過塩素酸ニッケルから調製したキラルルイス酸(30mol%)が最も効果的で、極めて高いエナンチオ選択性(96%ee)で付加体がレギオ選択的(85:15)に得られることを見出した。また、5,5-ジメチルピラゾリジン-3-オンと種々の芳香族アルデヒドより誘導したアゾメチンイミン類と3-アクリロイル-2-オキサゾリジノンとの反応においても、類似のキラルNi(II)触媒(10mol%)が極めて効果的に働き、高trans-選択的ならびに極めて高エナンチオ選択性(90-97%ee)で付加環化体が得られることを明らかした。
|