研究概要 |
複数の活性点を有する化合物は、ヘテロ環状化合物の合成原料として有用である。しかしながら、セレノ尿素、セレノアミド、セレナザジエン、アセチレンセレニドなどセレン元素を含んだこれら化合物の応用例は比較的少ない。近年我々は、上記セレノ尿素、セレノアミド、セレナザジエン、イソセレノシアネート、アセチレンセレニドなどの調製法を確立した。これらの応用としてヘテロ環状化合物の調製法について検討した。今年度は、単離が困難なアレニルセレノケテンの生成をReactIRを用いて確認するとともにアルキルセレノシクロブテンを調製した。また、セレナザジエンを用いて、クロロアセトニトリルとの反応から1,3-セレナゾール-5-カルボニトリルを、クロロアセチルクロリドとアミンの反応から1,3-セレナゾール-5-カルボキシアミドを、ハロケトンとの反応により5-アシル-2-アミノ-1,3-セレナゾールの調製法を確立した。さらに、セレノ尿素を用いてクロロアセトニトリルとの反応から2-アミノ-1,3-セレナゾール-4-イミニウムクロリドを、ケトンとの反応から5-アシル-2-アミノ-1,3-セレナゾールの調製法を確立した。 このようにセレン元素を含んだ各種活性種を用いることにより新規ヘテロ環状化合物の調製が可能であることを確認した。現在、セレノアミドやイソセレノシアネートを用いた新規ヘテロ環状化合物の調製について鋭意検討中である。
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