本研究では、新規のヨードシラン、プロモシランの合成等価体を開発した。また、ヒドロシランから誘導できるジアルコキシヒドロシランなどを原料とする新規ケイ素系ポリマーの合成と、合成したポリマーの光学・熱特性を検討した。 1.ジアミノシランとヨウ化メチルあるいはアリルブロミドの混合物がジヨードおよびプロモシランの等価体として働き、環状エーテルの開環ハロシリル化に利用できることを明らかにした。また、ヒドロシロキサンポリマーとアリルブロミドの混合物が、塩化パラジウム触媒存在下で、プロモシロキサンポリマーの等価体として環状エーテルと反応しハロアルコキシ-置換ポリシロキサンをあたえることを見出した。生成したハロアルコキシポリシロキサンの反応性も検討した。 2.ジヒドロシラン、トリヒドロシランの選択的アルコキシ化を利用して、ビニレンフェニレンやアダマンタン骨格を主鎖に有する新規ポリマーの合成を行い、その光励起エネルギー移動、高耐熱性などの機能を明らかにした。 3.アルコキシバロシランの電解反応による選択的なカップリング反応を検討し、アルコキシ置換のジシラン、トリシランの合成に応用できることを見出した。 4.アルコキシ置換ポリシリレンフェニレンを原料として、ベンゾクラウン発色団を側鎖に有するポリマーを合成した。これらのポリマーは、選択的にアルカリ金属およびアルカリ土類金属イオンと反応し蛍光スペクトルの変化を見せるので、イオンセンサーとしての利用可能性があることがわかった。 以上の結果は、ヨードシラン、プロモシラン、アルコキシシランが有機合成のツールとしてのみならず機能性ポリマーなどの出発物として有用であることを示している。
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