研究概要 |
1)クラウンエーテル環を有するフェンール誘導体の酸化カップリング重合によって合成できた(昨年度の研究)、主鎖と垂直方向にクラウン環が連続して連なった特異な構造を有するポリ(フェニレンオキシド)が、溶媒によって大きくその形を変えることが分かった。すなわち、GPC測定おいて使用する溶媒によって見積もられる分子量が以下のように大きく変化した:数平均分子量2900(THF)、5400(CHCI3)、320000(H2O)。クラウンエーテル部分が溶媒と水素結合を起こすとポリマー分子が棒状に広がるためだと推察される。 2)フェノール残基の3,5-位をメチロール化したチロシン誘導体が加熱のみによっで重縮合することを見いだした。水、DMSO, DMF中での重合(分子量数千)では、脱水反応により生成するエーテル結合以外に脱ホルミル化反応によるジフェニルメチレン骨格の生成が認められた。無溶媒固体状態でも重縮合が進行し、主鎖がほぼエーテル骨格のみからなるポリマー(分子量数万)が得られた。 3)チアカリックス[4]アレーンは酸化カップリング重合しなかったが、4つのフェノール残基の内2つだけメチルエーテル化すると残る2つのフェノール残基のパラ位で酸化カップリング反応が進行し数平均分子量2400のポリマーが得られた。ただ反応は完全には進行しておらず1箇所のみで重合し筒状のポリマーにはなっていないことが質量分析より明らかになった。 4)トリp-プロモホモオキサカリックス[3]アレーンにt-BuOKを作用させるとフェノール部分とプロモアレーン部分でハロゲン置換重合が進行し、ポリフェニレンオキシドを主鎖骨格とする筒状ポリマー(分子量数万)が得られることが分かった。
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