研究概要 |
1)ビスフェノールAをはじめとするいくつかのビスフェノール類にアルカリ性でホルマリンを作用させることによって,当該テトラメチロール化物を合成し,様々な条件でそれらの重合反応を行った。ア)結晶が得られたモノマーについては,100〜130℃に加熱すると固体状態を保ったまま重合反応が進行した。生成物は溶媒に不溶で架橋反応が起こったことが示唆された。イ)DMFやNMP中で100℃に加熱すると,重合が均一系で進行し分子量7000〜30000のポリマーが得られた。ただし,脱水反応と脱ホルミル化が同時に進行し繰り返し単位間の結合はエーテルとメチレンの両者の構造が含まれていた。ウ)エーテルまたは塩化メチレン溶液とし,メタンスルホン酸触媒存在下で還流させると繰り返し単位間がエーテル結合のみからなる分子量数千のラダーポリマーが生成した。 2)2つのフェノール残基を有するクラウンエーテル様の大環状化合物を合成し,それらを段階的に繋げることによって筒状オリゴマーを合成しその錯形成能について調べた。フェノールの2,6位をそれぞれクロロメチル化した化合物を合成し,トリエチレングリコールを作用させることによって,フェノール残基を2つ持った大環状化合物を合成した。そのフェノール残基部分の4位をさらにクロロメチル化して,他分子のフェノール性水酸基とエーテル化反応を行い。環が重なった形状の2量体を合成した。そのクラウン環部分とジベンジルアンモニウムイオンとの錯形成定数をNMRによって求めたところ対応する単量体よりも大きな値となった。
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