研究概要 |
平成17年度は以下の研究を行った。 1)メソ細孔材料を利用する耐熱・保湿性リン酸プロトン伝導ゲルの研究開発 まず有機基成分を(-CH_2-)_nSO_3H(n=2,3,4)及びフェニレン基にSO_3H基を持つ有機・無機ハイブリッドメソ多孔質材とFSM-16などのメソ細孔材にリン酸、硫酸などを吸着添加したカルシウムリン酸ゲル膜のプロトン伝導度を交流インピーダンス法により室温-80℃で測定を行った。その結果、リン酸プロトン伝導体ゲルに対するリン酸や硫酸を吸蔵したメソ細孔シリカ材料(FSM-16,MCM-41)やSO_3H基含有ハイブリッド無機・有機メソ細孔材料(HMM-1)を添加することにより、プロトン伝導度は10〜50倍に増大してNafion^<【○!R】>膜に比べて高いプロトン伝導度が得られた。リン酸や硫酸の吸着量、保湿度についての最適化を行い、メソ細孔内でのプロトン伝導機構について解析した。メソ細孔径には依存せず、細孔壁表面積に比例してリン酸吸着メソ細孔材料の添加によりプロトン伝導度は顕著に増大した。作成されたリン酸カルシウムゲル膜を利用した燃料電池を組み立てて60℃,80-150mW/cm^2出力性能が得られた。 2)メソ細孔材料を利用する金属カーバイドナノチューブの作成とナノ構造制御白金触媒の研究 メソ細孔シリカ材料(FSM-16,MCM-41)にMoO_3やWO_3を500℃でCVD担持して、メソ細孔内壁をMoO_3やWO_3をコートした複合酸化物メソ細孔材料を作成し、これに500-650℃でメタンあるいはブタンと水素との混合ガスを反応させてメソ細孔内でMoあるいはWカーバイド細線、粒子及びチューブ構造のカーバイド(Mo_2C, W_2C)を作成した。これに0.5%白金担持して作成したPt/Mo_2C触媒は、Pt/Al_2O_3に比べてPt当たりのシクロヘキサン脱水素活性は約25倍程増大した。
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