研究課題
基盤研究(C)
二酸化窒素に代表されるNOx類は、地球温暖化、有害化学物質の形成、あるいは、酸性雨の原因にもなっている。また、これらは生理学的にも、非常に関心が寄せられている物質である。一方、非共有結合的な弱い相互作用を介した分子会合体形成に焦点を当てた超分子化学は、非常に関心が寄せられている新しい分野である。本研究では、ランタノイド錯体特有の発光部位を有するボックス型ホスト分子を設計し、超分子化学的概念に基づいた窒素酸化物(ゲスト分子)に対する新規な分子センシングシステムの構築、すなわちゲスト分子が結合することにより、強い発光を示す系の構築を目指す。さらに、ホスト分子の固定化による機能性材料としての応用、化学反応試薬としての適用を目的とした。金属発光の励起部位としての芳香環部位とNO^+結合に対するカチオン-π相互作用を考慮した芳香族部位をあわせ持つ構造が基本となる。17年度は、ベンゼン環、ナフタレン環などの芳香族類を有する化合物群の合成を行い、それらの機能性を評価した。18年度では、長鎖アルキル鎖を有する化合物、及び、ポルフィリン環を有する化合物の合成を行ない、ランタノイド金属(例えば、塩化ユーロピウム)を用いて錯化することにより、目的としているボックス型ホスト分子を得た。長鎖アルキル基を持つ化合物では、興味あることに、鎖長に依存した錯体構造の違いをX線構造解析等により確認した。一方、ポルフィリン環を有する化合物では、ポルフィリン環部分に種々のアミン化合物やフラーレン類が、特異的に結合することを見出した。さらに、蛍光スペクトルを詳細に検討することにより、ポルフィリン環とフラーレンの間でのエネルギー移動も確認できた。アミド結合を有する類似の錯体型ホスト分子の合成にも成功し、水素結合を利用した種々のゲスト分子の結合挙動についても明らかにした。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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