研究概要 |
常圧・100℃以下での酸化反応と吸着との組み合わせによって、ガソリン中の硫黄含有量が1ppm以下の超深度脱硫を行い、低設備投資・省エネルギー型の低コスト超深度脱硫プロセスの開発を目的とする。 平成17年度:Ni等を担持したゼオライトを調製し、流通式吸着脱硫の可能性を評価した。そして、様々な酸化触媒を調製し、酸化反応を行った結果、Mo系触媒として用いたとき高い酸化反応性を示した。また、各硫黄成分の酸化反応性はベンゾチオフェン>2,3,5-トリメチルチオフェン>2-メチルチオフェン>2,5-ジメチルチオフェン>チオフェンの順で低くなった。酸化反応性が劣っているチオフェンに対しても確かに酸化反応が起きることが判明した。 平成18年度:ガソリンや灯油中の硫黄化合物として、チオフェン、アルキル置換チオフェン類をデカリンに添加し、これまで酸化反応性が確認されなかったチオフェンなどの反応速度定数および活性化エネルギーを算出し、各々の硫黄化合物の酸化反応性の動力学的解析を行った。さらに、難脱硫性のチオフェン類に対して最も高い活性を示したCAT-2触媒を見出した。 平成19年度:CAT-2触媒を用い、チオフェン類の最適な酸化条件の探索を行った。そして、開発した吸着剤AD-1を用い、連続酸化・吸着脱硫装置を作成した。この装置を用いて、モデルガソリン中の全硫黄量を15ppmから0.10ppmまで低下し、硫黄含有量6.0ppmの市販灯油を用いた酸化・脱硫を行い、運転を100時間以上行い、安定に全硫黄含有量0.05ppm以下の超クリーン灯油の製造ができた。 これらの結果、本課題の目標を達成し、従来の脱硫法より低コストで燃料電池用原料油の製造プロセスとして期待できることを示唆した。
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