研究概要 |
(1)フッ素系化合物の無機化反応においては反応時間が一般に長い。発生するフッ素イオンはガラスを腐食することが懸念され、また、反応溶液はポリタングステン酸により強酸性で、紫外光を必要とする為に反応容器には十分注意を払う必要があった。反応全体に圧力をかける必要があった。また光照射が偏らないために扁平のオートクレーブを用いた。フッ素イオン、強酸性、高圧にも耐える内壁を金メッキした反応装置を設計した。 (2)基礎的な反応メカニズムを解明するために、trifluoroacetic acid (CF_3COOH)、3,3,3,-trifluoropropionic acid (CF_3CH_2COOH)などの低級のフッ素イオンを有する界面活性剤を使用し、TiO_2、H_3PW_12O_40、H_3PW_12O_40/TiO_2の触媒により、光分解を行った。まず表面張力の変化、フッ素イオン、CO_2、TOC測定等をHPLC、GC、TOCで測定し分解メカニズムを調べた。 (3)C-F間の結合はTiO_2を用いたラジカル酸化反応では切断されにくいが、H_3PW_12O_40はC-F間に特異的に働き切断できた。H_3PW_12O_40はC-F間とcomplexを形成し、容易に切断されやすい状態へ変化した。そのため、中間生成物を同定・定量するために、種々の分析機器を併用した。 (4)水晶振動微量天秤(QCM)表面上に各種触媒をコーティングし、吸脱着挙動を重量変化により確認した。これにより光照射下in situの情報が得られる。TiO_2表面上に吸着されたH_2Oの働きはTiO_2触媒によるOHラジカル発生に重要な役割を果たすため、無視できない。触媒反応は表面で起こるため、QCMを用いた光照射下でのTiO_2表面での重量変化測定により基質と触媒表面との関係を調査した。固体触媒表面についての有機物質の分解過程も分光学的(OWSC)反射装置で検討中である。
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