研究概要 |
グリコサミノグリカンは、生体内では各種プロテオグリカンとして,コアタンパク質鎖上に集合体(クラスター)として存在している。本計画では,糖鎖のクラスタリングがタンパク質との相互作用に与える影響を定量的に把握することを目的とするため,ヘパリンを糖鎖のモデル化合物として,種々の糖鎖密度のクラスターを作成し、これらの活性や各種タンパク質との相互作用を検討する。 プロテオグリカンをミミックする高分子を作製するには、コアタンパク質のモデルとなる分子として多官能性のものが必要であり、さらに、コアとヘパリンを結合するための化学反応を確立する必要がある。また,作成したクラスターの活性評価法を確立する必要がある。 そこで17年度は、コアタンパク質のモデル物質としてポリリジン,低分子化キトサンを用い,これらのアミノ基とリガンドとしてのヘパリンの還元末端のアルデヒド基の間で形成されるSchiff塩基を還元して,数種のクラスター化ヘパリンを試作した。さらに,クラスター化したヘパリンの活性評価の1方法として,ヘパリンとの相互作用の挙動が良く解析されているアンチトロンビンを用い,これのアフィニティークロマトグラフィーを行なうため,アンチトロンビンと担体を同様に還元アミノ化法により結合させる固定化法の検討を行なった。 18年度にはこれらの結果をもとに,作成したモデル化合物のキャラクタリゼーションと活性評価を行い,さらにヘパリンのグリカミン反応やグルタルアルデヒドをリンカーとして用いる反応その他を組み合わせて,さらに様々な分子鎖数、密集度のクラスター化分子を系統的に作製し,この活性を評価する予定である。
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