研究概要 |
グリコサミノグリカンは、生体内では各種プロテオグリカンとして,コアタンパク質鎖上に集合体(クラスター)として存在している。本計画では,糖鎖のクラスタリングがタンパク質との相互作用に与える影響を定量的に把握することを目的としている。この目的で,ヘパリンと、プロテオグリカンのコアをミミックした分子を結合させ、クラスター化したヘパリンの作成を試みた。コアをミミックした物質としては、アミノ基を含む物質として、キトビオース、キトトリオース、キトペンタオース、キトヘキサオース、リジン2量体〜4量体、ポリリジンなどを用い、ヘパリンの還元末端アルデヒド基とコア物質のアミノ基との還元アミノ化反応により、両者を結合することとした。従来還元剤としてはシアノ水素化ホウ素ナトリウムが用いられてきたが、今回はそれに加え水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムなどの使用を検討した。また,作成した標品のアンチトロンビンIIIに対するアフィニティーを検定するため、アンチトロンビンIIIをリガンドとしたアフィニティー担体を作成した。 一方、本課題と関連して、ヘパリン同様の硫酸化多糖である、カラギーナン,紅藻ハナフノリより得られるフノラン及びアガロースの水溶液中での架橋反応を試みた。 これに加え、新規な硫酸化多糖源の開発の一環として、紅藻カイメンソウを調査したところ、同紅藻から粘質物質を得、四級アンモニウム塩に対する挙動、赤外吸収スペクトルなどの知見よりこれが新規な硫酸化多糖であることを明らかにし,同様の植物酸性多糖のスクリーニングの一環として,クワ葉より酸性多糖を抽出単離し,この構造決定とキャラクタリゼーションを行なっている。
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