研究課題
基盤研究(C)
平成19年度は(1)自発的・可逆的な変形機能の発現、(2)架橋トポロジーとポリマーネットワーク異方性、(3)液晶・液晶高分子・液晶エラストマーにおけるダイナミクス、の3点を検討した。主な結果は以下の通りである。(1)せん断応力下ならびに2段階一軸延伸下の架橋反応、双方においてモノドメインSmC^*エラストマーを得た。前者はSmA-SmC相転移において"分子が傾くことでせん断変形"し、後者では"層が傾くことでせん断変形"した。応力履歴により分子再配列過程や変形過程を制御できることを見いだした。さらに電界印加により同試料が層法線方向に伸縮することを確認し、電界による形状制御可能なアクチュエータへの応用の可能性を見出した。(2)クロスリンカーの化学構造設計により、ポリマーネットワークのトポロジーと異方性の制御を試みた。メソゲンとして働く棒状クロスリンカーで架橋した試料は、等方相-液晶相転において25%以上の変形が得られた。柔軟クロスリンカーの場合は5%以下の変形であった。さらに、棒状クロスリンカーがメソゲンの配向を支配するためSmA-SmC相転移において層が傾き、柔軟クロスリンカーではメソゲンが傾きことを確認した。(3)液晶エラストマーの変形機構を探索するため、低分子ならびに高分子のスメクチック液晶のダイナミクスについて検討した。低分子系では13C-NMRを用いてスピン-格子緩和を観測し、分子ダイナミクスを核レベルで解析した。ラセミに比べS-エナンチオマーの方が骨格部の分子長軸周りの回転が速く、双極子-双極子相互作用の分子ダイナミクスへの影響が示唆された。また、主鎖型高分子液晶のスメクチック相において低分子液晶と同様の集団揺らぎ(ゴールドストーンモードとソフトモード)が観測され、電界による集団的ゆらぎ制御の可能性を指摘した。
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