研究概要 |
Na-4-マイカを塩化アンモニウム水溶液でイオン交換を3〜6回繰り返して得られたイオン交換体の底面間隔(c・sinβ,(c,β:格子定数))と格子定数(b)を測定した。イオン交換体のbはNa-4-マイカのbとほとんど変化しないが、イオン交換の回数の増加とともにc・sinβは増加し、5回のイオン交換でほぼ一定になった。これより、Na-4-マイカの層間にNH_4^+イオンが導入され、5回のイオン交換でほぼ完全にNa^+はNH_4^+に置換されたことがわかった。次に、6回イオン交換して得られたNH_4^+イオン交換体を200〜1000℃で焼成した後のc・sinβとbを測定した。これより、800℃まではNH_4^+イオン交換体の結晶構造に大きな変化がないことがわかった。しかし、1000℃の加熱によって、c・sinβとbがともに小さくなり、結晶構造の変化を示唆した。 6回イオン交換して得られたNH_4^+イオン交換体を600-800℃で焼成した焼結体の伝導率の温度変化を測定した。イオン交換体の伝導率は600-650℃で、10^<-6>(S・cm^<-1>)オーダーの値を示したが、Na-4-マイカの伝導率(600℃で3.4×10^<-4>(S・cm^<-1>))よりも低い伝導率であった。これよりイオン交換体の伝導は層間のNH_4^+のうちの1つのH^+が可動するのではなく、Na^+イオン(半径:0.95Å)よりも大きなNH_4^+イオン(半径:1.43Å)が層間を移動したと考えられた。他方、焼成したイオン交換体の湿潤下での伝導率を測定すると、約80℃で10^<-4>4(S・cm^<-1>)オーダーの値を示した。これよりNH_4^+イオンが溶液を介し移動しやすくなることがわかった。
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