申請者らは塗膜性に適した形・サイズと暗所でも機能を持続できることを念頭に置き、光触媒と残光性蛍光体を担持したミクロンオーダーの真球状微粒子の開発に着眼した。これまでに、ビスコース相分離造粒法を用いて真球状のセルロース/酸化チタン複合粒子を調製し、その加熱処理により、カーボン複合マイクロ球状粒子を開発している。 (1)ビスコース相分離造粒法を用いて、粒子化することを念頭に置いているが、残光性蛍光体を複合させる前に、酸化セリウム、ダイヤモンド、コバルト系顔料、ニッケル系顔料などの複数種の無機材料とセルロースとのコンポジット化を行い、ゼータ電位測定装置を用いて、表面電位とその関係を調査した。その結果、表面電位がマイナス側で、均一な電位を有するほど、表面に露出することが確認された。 (2)長残光性の蛍光体を念頭に置き、Ca、Sr、Baなどから構成されるアルミン酸酸化物、MAl_2O_4に着目した。酸化チタンと発光しているアルミン酸酸化物を混合した場合、光照射を行わなくても、光触媒能を持続し、アセトアルデヒドの分解が生じることがわかった。同時に耐水性が高いアルミン酸酸化物の検討も必要であることが確認された。 (3)ビスコース中にアルミン酸酸化物を分散させると分解が生じ、そのままでは、複合化ができない。そこで耐水性の向上を図るために、造粒時に使用する炭酸カルシウムとアルミン酸酸化物の複合化を行った。繊維質への担持など、他の物質との複合化を行うには、炭酸カルシウムの構造が針状結晶(アラゴナイト)でなければならない。アラゴナイト構造を持つ、炭酸カルシウムの合成は、行われるが、水系合成では、アルミン酸酸化物の分解が生じる。我々は、非水系溶媒中でアラゴナイト炭酸カルシウムを合成し、さらに残光性蛍光体を複合させることを可能とした。研究報告記載。
|