研究課題
基盤研究(C)
高分子に導電性粒子を混合すると、導電性粒子の含有率がある濃度を越えた時、急激に電気伝導度が上昇し、その濃度しきい値を持つ複合材料の電気抵抗は温度が上昇するとPositive Temperature Coefficient(PTC)効果は発現し、電気抵抗値が急激に上昇する。本研究では種々の高分子と、アスペクト比の異なったCFやCNTsを用いて、いろいろな複合系において、その電気伝導度と構造の関連性を解明し、理論的に究明することを試みた。超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)と低分子量ポリエチレン(LMWPE)の混合物とカーボンファイバー(CF)との複合材料を直流と交流電場下の電気伝導度の温度と周波数の依存性を検討した。ゲル-結晶化法で作成したUHMWPEとLMWPEの混合比は9/1でCFの含有量が18〜26vol%のフィルム試料は優れたPTC効果を示した。CFの含有量が一定して、UHMWPEとLMWPEの混合比が1/0から1/15を変化したところ、複合材料は絶縁体から導電体まで変化することがわかった。この特性は従来のパーコレーション理論と異なることである。電子顕微鏡での観察結果から、CFの表面に覆われたポリエチレンの膜の厚さがUHMWPEとLMWPEの混合比によって変わることがわかった。この厚さの影響でカーボンファイバーのトンネル伝道が変化することによって、複合材料の電気伝導度に大きく変わる。従って、複合体の電気物性がマトリックスの成分比、加工条件によって制御することができると考えられる。ゲル-結晶法で作成したUHMWPEとCNTsの複合材料は超延伸性を持ち、高強度高弾性率の導電性膜になる。しかし、15wt%の多層カーボンナノチューブ(MWNT)の高い添加量で作成した複合フィルムの電気伝導度は0.1S/cmレベルしかなれない、これはMWNTの固有電気伝導率よりかなり低い。その試料にヨウ素ドーピングを施すことによって、ポリエチレンのポテンシャル障壁を低下し、電気伝導度が10^1〜10^4S/cmの上昇が見られた。一方、パラフィン溶液を用いて作成したUHMWPEとMWNTの複合試料はより低いパーコレーションしきい値と室温でより高い電気伝導度が得られた。その違いが作成方法によってナノチューブの表面に覆われたポリエチレンの厚みが異なることからである。
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