研究課題
SIMOXウエーハの埋め込み酸化層は、通常のSiウエーハにO^+イオンを約180keVの加速エネルギーで大量に注入し、その後1350℃でアニールすることにより作製されている。埋め込み酸化層の形成は、打ち込まれた酸素がアニール中にSiO_2として析出し、それらが合体することによっておこると考えられている。我々は放射光X線回折によりSIMOXにおける埋め込み酸化層の形成過程を詳細に調べた結果、酸素イオン注入により、酸素がウエーハ中に導入されるだけではなく、その際ウエーハ中に欠陥が生成され、その後の酸化雰囲気中での高温アニールによって注入された酸素がSiO_2として析出するとともに、雰囲気から取り込まれた酸素は拡散して欠陥を核として析出・合体することにより埋め込み酸化膜が生成されることを明らかにした。このことから、欠陥層をあらかじめ挿入したSi基板を酸化雰囲気中でアニールすることにより、新しいSOIウエーハの作製が可能であると考えた。そこで、Ge層を挟んだSiをMBEにより作成し、Ge層を欠陥層として挿入する実験を行った。まず、RHEEDで成長状態のモニターが容易な(111)基板を用いて予備的な実験を行っている。Si基板の上に1.8nmのGe層を作成し、その上に428nmのSi層をMBE成長させた。分光エリプソメータにより膜厚を測定したところほぼ予定した膜が出来ていることが確認された。来年度はこの試料を酸化雰囲気中でアニールして表面Si層の厚さを薄くするとともに、Ge層に埋め込み酸化膜が出来ることを、分光エリプソメータや断面TEMを用いて検証する予定である。
すべて 2005
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