昨年度作製したガスソース成長装置を用いて、高真空下でのカーボンナノチューブの成長実験を行った。特に、触媒金属種や基板上へのガス供給効率などを検討することにより、アルコールガスソースを用いて、SiO_2/Si基板上に担持したCo触媒からのナノチューブの成長に成功した。成長圧力も10^<-1> Paから10^<-4> Paと、通常よりもかなり低い圧力下での成長を実現することができた。成長したナノチューブのラマン測定を行ったところ、RBMピークの観測はもちろん、良好なG/D比(〜20)を示しており、高真空下での成長が結晶性の向上につながっているのではないかと考えている。また、高真空下でのナノチューブ成長の副産物として、成長温度の低温化も確認されており、プラズマや熱フィラメントを用いない成長装置としては、かなり低い温度である400℃でのナノチューブ成長に成功した。現在、成長高真空下での成長が及ぼす影響について考察中である。今後は、本装置を用いて、紫外線照射効果を調べるための準備を進めている。 また、本実験と平行して、SiC基板の真空中加熱によるナノチューブ成長実験の研究も行っているが、真空下での加熱中の雰囲気ガスの効果を調べたところ、酸素が成長速度の向上に寄与することが明らかとなった。また、パターニング技術を用いてSiCの分解位置を制御することにより、ナノチューブの選択成長を実現することができた。今後は、より成長速度を向上させること、および、選択成長の場合、より長いナノチューブの選択成長を実現することを目指して、そのための実験装置の準備を行っている。
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