次世代Cu/low-k材料間の拡散バリヤとして要求されているバリヤ膜厚は数nm程度であり、かつ多層配線部分の信号遅延を低減するために、できるだけ低抵抗な材料が望まれている。そこで本研究では、そのような低抵抗な材料を極薄膜として成膜する手法として、スパッタ法にラジカルによる窒化を組み合わせた新たな手法を提案し、従来からの反応性スパッタ法等で得られたバリヤ膜と新規成膜手法により得られたバリヤ膜の特性について検討を行ってきた。その結果、反応性スパッタ法においても、スパッタ条件を工夫することで、界面に従来から問題となっていた界面層を形成することなく極薄バリヤ膜を形成できることを実証するとともに、新規成膜手法では、反応性スパッタ法とほぼ同等の良好なバリヤ膜を基板加熱なしで得られ、かつ界面層等も存在しない理想的な界面を形成することが可能であることを見出した。さらに、Cu配線の次世代バリヤ材料として新たな材料系を提案し、優れたバリヤ特性を示すことを実証した。この材料は更なる可能性を秘めた有用な材料であり、その発展性は多岐にわたることも示唆された。
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