研究概要 |
(1)基礎発現メカニズムの解明: 高濃度水素イオン注入によるダメージ、特に結晶欠陥の性状・方位・分布を透過型電子顕微鏡観察から評価し、薄膜切り出し形状・深さとの関連性を詳細に調べた。特にドーズ量・ドーパント種・キャリア濃度・イオン注入温度による違いを比較し,欠陥層内の深さ方向欠陥密度分布の差異を明らかにした。 (2)ブリスタリングの動的観察: 各種注入条件における試料のアニーリング中欠陥挙動を観察する。TEMを用いて欠陥層の変化、特にプレートレット状欠陥の空乏・剥離への成長のその場加熱観察。その場加熱観察ホルダーを装備した光学顕微鏡およびSEMを用いた表面ブリスタリングと局所的剥離の面積・深さ・温度の精密測定を行った。(1)の成果と合わせ剥離現象発現時の欠陥挙動を明らかにした. (3)不純物援用照射(He,F,C,B)およびSic,Geへの応用: 少量の異種イオンを照射し,化学的作用などを併用し薄膜切り出しにおける,切り出し深さ,平坦度,アニール温度の低温化,イオン注入時間の短縮などの効果を評価する.17年度は,新たにGe結晶の3方位について剥離現象の比較を行ったが有意かつ興味深い結果は現在のところ得られていない.F,C,Bの援用照射は一定の促進効果を得たが,水素注入後のみの実験しか行ってない,逆順で作製した試料に対する実験が必要である.またデータ整理,詳細な再実験も必要である. (4)RBS/C法との比較検討: ラザフォード散乱(RBS)分光法による欠陥分布評価を開始し,注入温度依存性ドーパント量依存性についての実験が終了し実験の有効性と実験精度が確認できた,TEMによる評価との比較検討を行っている.
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