(1)界面ポテンシャルに対する界面での原子配列の周期性の影響 基板金属として、アルミナがエピタキシャル成長するNiAl(110)およびCu-9at%Al(111)を用いて実験を行った。基板を910Kに加熱し、酸素分圧5x10-8Torrで256Lの酸素を導入してエピタキシャルアルミナ膜を成長させた。 X線光電子分光(XPS)装置を用いて、基板からのCu2pまたはNi3p、Al2pスペクトル、アルミナ膜からの01s、Al2pスペクトル、OKLLオージェスペクトルを取得した。また、酸化とともにケルビンプローブによる表面ポテンシャルの測定値がどのように変化するかも調べた。同時に、ヘリウム放電による紫外光を励起源とする紫外光電子分光スペクトル(UPS)を、試料をアースポテンシャルにした状態と試料にマイナス10Vの電圧を印加した状態で測定した。XPSによる結合エネルギーの変化とケルビンプローブによる表面ポテンシャルの変化、UPSによる価電子帯のエネルギー準位と仕事関数の値を比較して、基板とアルミナ膜とのポテンシャルの違いを計算した。Cu-9at%Al(111)を超高真空中、650Kに加熱し、酸素分圧5x10-8Torrで512Lの酸素を導入した。この条件で酸化すると、上のエピタキシャル膜と同じ膜厚でアモルファス構造のアルミナ膜が成長する。エピタキシャル膜の場合と同様に、XPSによる結合エネルギーの変化とケルビンプローブによる表面ポテンシャルの変化、UPSによる価電子帯のエネルギー準位と仕事関数の値を比較して、基板とアルミナ膜とのポテンシャルの違いを計算した。この結果を、エピタキシャル膜の場合と比較し、界面ポテンシャルに対する界面での原子配列の周期性の影響を明らかにした。
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