1.ブリュアン増幅を利用した屈折率分布測法の原理確認 (1)誘導ブリュアン増幅の測定:パルスのポンプ光によって石英系導波路内でブリュアン増幅されたストークス光のパワー変化を同期検波する系を構築した。しかしながら、両光の周波数差に関係なく、ストークス光のパワーは約0.1%強度変調され、これが導波路のブリュアン利得スペクトルを測定する妨げとなった。当初、導波路端面でのポンプ光の反射が原因と考え、端面を斜研磨した後に残留反射を幅5GHzの光バンドパスフィルターで除去したが、この強度変調を低減できなかった。さまざまな要因について検討した結果、ポンプ光が(石英系導波路とファイバ間の)屈折率補償液の温度を周期的に変化させることが原因であるとの結論に達した。この変化の減衰時間は約50μ秒であったので、ポンプ光の繰り返しをf_P=200KHzに設定することにより、当該強度変調を大幅に低減できた。その結果、長さ5cmの石英系導波路のブリュアン利得スペクトルが測定可能となり、スペクトルのピーク値とバックグランドレベルの比は、当初のS/N=1から43に改善できた。 (2)温度変調特性:ヘテロダイン干渉計を構築し、炭酸ガスレーザ照射による石英系導波路の温度変化を位相変化として直接観測した。その結果、繰り返しf_L=100Hzでデューテイ10%でも長さ3mmの導波路部分に100度の温度変化を誘起できることが分かった。 (3)ブリュアン利得スペクトルの高空間分解測定:f_P=200KHzのポンプ光パルスを石英系導波路に入射させながら3mmの導波路部分にf_L=100Hzで炭酸ガスレーザ光を照射した。両光の周波数差を変化させながらストークス光パワー中のf_P+f_L成分を同期検波した結果、特定の光周波数差にて出力にピークが現れることを観測したが、再現性が悪く、同時点では照射部分のみのブリュアン利得スペクトルが抽出できたとの確信は得られていない。この原因は、炭酸ガスレーザ照射によって導波路の伝播損失が数%変化するため、ストークス光パワーf_L=100Hzで変調されたことによると考えられる。 2.OLCRによる屈折率分布測定法の原理確認 プローブの先端に1.5μm通過/1.3μm反射のARコートを施し、1.3μmレーザ光を効率よく反射させる系を構築した。ところが、ARコートによってASE光のスペクトルが変化してしまい、1.5μm帯インターフェログラムが歪んでしまった。そこで、低コヒーレンス光干渉計に1.3μm帯用のバランス検波回路を導入し、レーザ光の強度雑音を相殺した。その結果、ARコートを施さずプローブ端での反射率が-60dBでも1.3μm帯ビート信号をS/N=100で発生させることに成功した。
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