本研究の目的は、新たに考案した励起光の空間発散を用いた超広帯域光パラメトリックチャープパルス増幅法(OPCPA : Optical Parametric Chirped Pulse Amplification)を中心にして、出力の安定性を3%以下に抑える光学システムに関する新たな設計手法を確立し、数ペタワット(1PW=10^<15>W)・数フェムト秒(1fs=10^<-15>s)の超高強度超短パルスレーザー光の発生を実現することである。 本年度では、これまでのOPCPAに関する数値計算コードを用いて空間発散まで計算できるようにして数値計算を行った。数値計算では、励起光の空間発散を用いたOPCPAを中心にして、信号光の周波数チャープと励起ビームの空間的発散との関係を数値的に解明し、増幅した信号光レーザーパルスの空間・時間・周波数チャープ分布を定量的に評価した。また、非線形光学結晶の評価と設計を行うと同時に、非線形光学結晶の環境依存性や信号光と励起光の不安定性によるOPCPAシステムの不安定性についても数値的に検討した。アイドラ光を制御することによって、増幅された信号光の安定性をさらに向上させる方式を考案し、それに関する数値計算及び基礎実験が進められ、初期的な成果を挙げることができた。
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