円柱、円筒、円錐などの軸対称回転体を基本形状とするマイクロ部品を製作したり、回転エンコーダ、ヘリングボーン等の空気軸受溝や潤滑溝を形成したりするため、これらの表面上に光リソグラフィを用いて微細パターンを形成する技術について研究した。 光リソグラフィの方策として、原図レチクルを用いてパターンを転写する投影露光と、レーザビームに対して試料を動かしてパターンを描画する走査露光の2つを試みた。所要露光時間の観点からは投影露光が有利である。試料を連続的または間欠的に回転させるのに同期してレチクルを走査する露光装置を製作した。投影レンズとしてFナンバーが8の写真レンズを用い、直径6mmの銅円柱試料上に線幅20μmの軸平行ラインアンドスペースパターンを形成した。斜めラインアンドスペース、チェック模様、蛇の目模様などの形成にも成功した。試料の中心軸と回転軸がずれると結像位置がずれ、パターン線幅が変化したり、投影倍率が変化してパターンピッチが変わったりするため、偏芯を補正してから露光した。エンコーダを想定して直径約26mmの銅円柱の表面に360本の約100μm線幅の軸平行ラインアンドスペースパターンを形成した結果、ピッチばらっきを約±5%、線幅ばらつきを±6%とできた。 一方、直径2mm以下の非常に細い円柱、円筒に、より微細なパターンを形成するため、青色レーザを走査する露光装置を製作しで微細加工を試みた。レーザ光を穴径63μmのピンホールで絞り、対物レンズを用いて1/10縮小して試料上に当てた。細い試料にレジストを浸漬引上げ塗布する方法を詳しく検討し、レジストを膜厚約1μmに薄く塗布する条件を見出した。その結果、線幅約10μm、ピッチ91μmのらせんパターンを外径100μm、内径40μmの銅パイプ上に形成できた。また、同試料をエッチングすることにより素線幅約20μmのマイクロコイルを製作することに成功した。
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