研究概要 |
コンピュータ内部の3次元光配線化における課題「(1)積層導波路フィルム位置ずれによる損失(2)フィルム間縦型導波路の形成コスト」を解決するために,Phosphor/Reflective SOLNETを導入した自己組織化3次元光配線網の実現を目指す. 17年度は,設計技術を確立するとともに,SOLNET形成基礎プロセスの検討を行い,自己組織化、3次元光配線網の前躯体構造モデルを作成する. 1.Phosphor/Reflective SOLNETのBPMシミュレーション 対向したコア幅8μmの導波路間の結合効率を,導波路間を「フリースペース」「片側書き込みSOLNET」および「Reflective SOLNET (R-SOLNET)」とした場合について,ビーム伝播法(BPM)により評価した,その結果,「結合効率は,導波路間距離60-240μm,位置ずれ0-4μmの範囲で,フリースペース,片側書き込みSOLNET, R-SOLNETの順に高くなる」ことがわかった.このことから,導波路フィルムの厚さを25μmと仮定した場合,10層規模の3次元光回路に対してR-SOLNETが有効な縦型導波路として働くことが明らかとなった. 2.SOLNET形成基礎プロセスの検討 導波路フィルムでは,ガラス製光ファイバに比べて吸収端が長波長側に伸びているため,高圧水銀灯の365nmの光を書き込み光として用いることが困難である.そこで,青色にまで感光波長領域を拡大したPhoto-Refractive (PR)材料を用い,LDを書き込み光として405nmのBlue LDを使用した結果,導波路端面からのSOLNET形成に成功した.これにより,SOLNETが,導波路フィルムを積層してなる3次元光回路に適用できることがわかった. 以上の結果から,自己組織化3次元光配線網の前躯体構造モデルとして,「導波路フィルム厚さ:25μm,積層層数:〜10,PR材料:青色増感材料,書き込み光:405nm Blue LD」が適当と考えられる. 次年度は,導波路フィルム上へのSOLNET形成,R-SOLNETの実験的デモンストレーションを中心に検討を進める.
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