研究概要 |
18年度は,前年度にモデルを確立した自己組織化3次元光配線網の部分試作を進めた. 1.3次元光回路の作製 45°ミラーつき光導波路フィルムA,Bを重ねて3次元光回路を作製した.光Z-コネクション部では,フィルムA,Bの45°ミラーが対向している.プローブ光(波長650nm)をフィルムAのコアに入射させたところ,光Z-コネクションを経由して,フィルムBのコア端面から出射した.3次元光回路を実証した.光Z-コネクションのロスは14dBであった.これは,ミラー反射光の広がりに起因する.今後,クラッディング層の薄層化,SOLNETの導入などにより漏洩光を低減する. 2.SOLNETによる縦型光導波路の作製 光導波路フィルムのクラッディング層上側にフォトリフラクティブ(PR)層を形成し,ここに波長405nmの導波LD光を45°ミラーで反射導入することにより,フィルム上方にSOLNETを成長させることができた.フィルムのコアにプローブ光を導入したところ,SOLNET上端に,コアのサイズ32μmx32μmに近いnear field patternが観測され,SOLNETが光導波路フィルム上の縦型光導波路として機能することが実証できた.今後,自己組織化3次元光配線の総合試作を試みていく. 3.ナノスケールR-SOLNETのシミュレーション チップスケール光配線では,ナノ光導波路からなる超小型光変調器が必要となり,ナノ光導波路とマイクロ光導波路(or光ファイバ)との光結合が問題となる.そこで,FDTDベースのSOLNETシミュレータを作成し,幅2μmの光導波路と幅0.5μmの光導波路との間のR-SOLNETによるセルフアライン光結合をシミュレートした.その結果,幅2μmの光導波路から書き込み光(波長650nm)を入射させると,幅0.5μmの光導波路入力部に配置した波長フィルタからの反射光との重畳でセルフフォーカスが生じ,光結合が自動形成されることがわかった(PR材料最大屈折率変化:0.3). 19年度は,Phosphor/Reflective SOLNETの導入,総合試作を試みる. 〔研究協力者〕JSR株式会社 筑波研究所 江利山祐一 導波路材料・SOLNET材料の開発作・評価.
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