研究概要 |
コンピュータ内の3次元光配線化における課題「積層導波路フィルム位置ずれによる損失,縦型導波路の形成コスト」を解決するために,Reflective Self-Organized Lightwave Network(R-SOLNET)を導入した自己組織化3次元光配線を提案し,下記の結果を得た. 1.FDTDべースのSOLNETシミュレータを開発し,幅2μmの光導波路と端面に波長フィルタ(書き込み光を反射)を設けた幅0.5μmの光導波路との間のR-SOLNET形成をシミュレートした.フィルタによる「光の呼び水効果」が生じ,SOLNETがフィルタ位置に呼び込まれ,光導波路間にセルフアライン光結合が形成された.複数個のフィルタにより分岐結合導波路が自己組織化した. 2.端面にAlミラーを形成した光ファイバを,フォトポリマをはさんでマルチモード光ファイバと対向させ,後者から書込み光(365 nm)を出射した結果,角度ずれ3°,位置ずれ30μmがあっても両ファイバ間にセルフアライン光導波路が形成された.これによりR-SOLNETを実証できた. 3.45°ミラ一つき光導波路フィルムを重ねて3次元光回路を作製した.光をフィルム間に3次元的に伝搬させることができた. 4.光導波路フィルム上にフォトポリマ層を形成し,ここに波長405nmの導波光を45°ミラーで反射導入することによりSOLNETを成長させた.これが縦型導波路として機能することを示した. 5.コアを低/高/低屈折率の3層構造,ミラ一部をスカート型とした光導波路フィルムを提案した.FDTD/BPMを用いたシミュレーションおよびBuilt-in Mask法を用いた試作により,提案構造がミラ一部の光漏洩・散乱の抑制に有効であることを示した. 当該研究により,自己組織化3次元光配線のコア技術を確立することができた.今後,総合試作を試みていく.
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