1 InGaAs/InAlAs系量子カスケードレーザの線幅増大係数、強度雑音:QCレーザの設計や線幅増大係数や雑音を知ることは応用上、重要である。戻り光を利用するSelf-Mixing法を用いて、8.3μmmファブリ・ペロー型量子カズケード・レーザの線幅増大係数(αパラメータ)を測定した。その結果、αは-0.3であり、αが小さな値のときにだけ現れる特徴的な波形を測定することに成功した。この波形はα=3〜5と大きい通常の半導体LDの波形とは異なる。更に同様の測定を5μm-DFB形QCレーザに適用し、αパラメータのデチューニング特性を世界で初めて観測した。αは利得ピークに対して非対称になっており、この結果は、サブバンド間利得が非対称になっていることを示唆する。そこで、サブバンドの非放物線性を有効質量の違いで近似し、利特とαパラメータの理論解析を行った。利得プロファイルは長波長側に尾を引く非対称な形をとり、利得ピークでのαは零とならないことが計算から分かった。QC レーザの強度雑音(RIN)では DFB 形 QC レーザと1.55μm-DFB-LD の雑音特性の違いを調べた。DFB形 QC レーザでは光出力10mW時のRINは-158dB/Hzであった。同一光出力でのDFB-LDのRINより〜5dB大きいが、絶対値としては十分、低いことが分かった。QCレーザとDFB-LDでRINの光出力依存性は異なっていた。そして理論解析の結果から、QCレーザのRIN特性を決めているのは発光層の段数とキャリア寿命であることが判明した。また共鳴トンネル時に誘発されるノイズを確認するため、定電流源と定電圧源を用いて測定を行ったが違いは観測されず、その影響は小さいことが分かった。 2 InN/InGaNヘテロ接合形成:InGaN/lnN系では内部電界の影響を受けず、高い発光効率が期待される無極性面での結晶成長が注目されている。そこでA面InNテンプレート上への高In組成A面InGaN成長に関する検討を行った。RF-MBE法を用いて、R面サファイア基板上に、窒化処理を行った後、InNとを InGaNを400℃で成長させた。RHEED観察およびXRD測定から、六方晶A面結晶が成長していることを確認した。PL測定により、InGaNからの明瞭な発光ピークを観測されている。またInN層とInGaN層との間に低温InGaN中間層を導入することでInGaNの表面平坦性が向上できた。
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