研究概要 |
昨年に引き続き、低温で大きな熱電能を示す物質の探索を行った。その結果正に大きな熱電能を示す物質としてCeNi_9Si_4を見つけた。一方負の極には昨年探索したYbCu_<4.5>Ag_<0.5>を採用した。この2つの試料で熱電素子を作成し室温と77Kでペルチェ効果を測定した。その結果室温ではペルチェ係数II=3.49mV、熱電能S=12μV/K、性能指数1.46×10^<-4>が得られた。77Kではペルチェ係数II=4.57mV、熱電能S=59.4mV/K、性能指数1.26×10^<-3>が得られ、室温に比較して1桁良い結果であった。更に、昨年作成したCePd_2Al_3-YbCu_<4.5>Ag_<0.5>よりやはり1桁良い値が得られた。 素子の熱伝導を小さくするため粉末化を行った。200kg/cm^3の圧力を加え、素子を作成したが、性能指数はかえって小さい値となってしまった。この結果については加圧圧力を更に大きくすればいい結果が得られると考えている。この研究では現在のところCeNi_9Si_4-YbCu_<4.5>Ag_<0.5>の素子が低温での性能指数が良い値を示すことが分かったが、更に良い素子を探索すると同時に、素子の粉末化の技術を向上すれば良い素子が得られると考えられる。 これまで得られた成果は富山大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーの成果発表会で報告した。また、酸化物化合物で大きな熱電能を示す(Ca, Bi)MnO_3系の熱電能の計測も行った。Ca_<0.75>Bi_<0.25>MnO_3は90Kで-260μV/Kという大きな熱電能を示したが、電気抵抗が10Ωcmという大きな値であることより、熱電素子には不滴当であることが分かった。この(Ca, Bi)MnO_3系で調べた電気抵抗、熱電能の性質を日本物理学会で報告した。
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