研究概要 |
本年度はこれまでにノウハウのある走査型トンネル顕微鏡(STM)や原子間力顕微鏡(AFM)などの装置本体、電子回路全般及びソフトウェアを基礎として,装置開発を行った。具体的には磁気力をコントロール可能なプローブを有する磁気プローブ顕微鏡を開発し、表面のナノスケール観察、加工に加え、微小物体の磁気トラップによる操作・組立を可能にするナノスケールマニピュレータ機能を有する新奇なプローブ顕微鏡システムを設計・開発した。 特にプローブ先端の動きがモニタできるようにプローブ顕微鏡ユニット内に対物レンズを組み込み、倒立顕微鏡配置としてシステムを設計・製作した。また磁気制御を行うための電子回路の設計及び探針制御の光学系を設計・製作した。 新奇な磁気マニピュレータ・プローブ顕微鏡システムの試作 ユニット本体はこれまでに製作してきたプローブ顕微鏡装置をベースにマニピュレーション機能として磁気プローブを装着可能なユニット本体を新たに試作・開発した。マニピュレーション時にプローブ顕微鏡先端の高精度位置決めが可能になるように倒立顕微鏡配置としている。プローブ先端の磁気力が制御できるようにプローブ材質は純鉄などの軟磁性体材料からなる金属細線を電界研磨により先端径100nmを実現した。磁気分布の観察や磁気力を用いたマニピュレーションには磁力を変調及び制御する必要がある。このためプローブにはマイクロソレノイドを巻きつけ、印加電流量を制御することで、磁力を制御できるように開発した。この磁気プローブを用いた顕微鏡によるプローブと試料表面間の距離制御にはプローブ先端に働く原子間力等の力学的相互作用により高さを位置決め制御するがそのダンピングから制御する方法やプローブをカンチレバ型に作製することでタッピングにより距離制御を行う手法を採用した。プローブの振幅減衰の検出にはレーザダイオードを用いた光学的検出法やチューンフォーク水晶振動子を用いた圧電的検手法を用いた。
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